この形、昔のミズノT-ZOIDをMBにした様な形をしている。T-ZOIDの中でもほぼMBだったT-ZOID PROⅡを現代版MBに変えたらこうなると言っても良い。個人的な話だが、キャロウェイAPEX MB(UT)は私のMBとしての理想形にかなり近い。APEX MBよりAPEX UTの方がより理想的だ。未だ実物は手にしていないがAPEX MBの肉厚の薄い板厚の部分が4mm以上有れば最高だ。APEX UTはその部分がAPEX MBより厚くなっている。その為、より理想に近いと言った。
以前、私はミズノMBの名器でミズノ・プロMP33と双璧にT-ZOID TRUEを挙げた。T-ZOID TRUEの名がMIZUNO・PRO・TRUEだったとしたら現代、キャロウェイAPEX MBより先駆けてこの類の形が登場したかもしれない。T-ZOIDもRV-01とか02とか初心者か、シニア向けの様なクラブを出している内にキャロウェイに見事にMB化され先を越されてしまった。T-ZOIDと言う素晴らしいデザインを生み出しながら、それらをMBに応用する発想は出なかったか。国産、しかもミズノからこの形を生み出して欲しかった。
現代MBは総じてバック・フェイスの下半分が極端に分厚く、上半分が極端に薄い。ミドル・アイアンまでならボールは良く高く上がるだろう。しかし上半分の板厚の薄さから球質は異様に軽い。キャロウェイのRAZA Xもテーラー・メイドのTP MB SOMKEやRACフォージドも「これがMBの弾道か!!!」と言いたくなるくらい球質は軽い。素晴らしい操作性に惚れて購入したテーラー・メイドTP MB SOMKE(DGS300)など、私は即売却した。しかし、このキャロウェイAPEX MB(UT)は打点の裏側がバーの様に分厚くなっている。現代MBの中では強い球が出ることが容易に判断出来る。「MB使うなら真ん中に当てろ」と言っている様な根性が、骨っぽく好ましい。そして、バック・フェイス上半分やトップ・ライン。ここも厚くないと2、3番アイアンは大空高く舞上らない(プロ・パワー・ヒッターを除くアマ、セミ・ハード・ヒッター以上の場合)。このキャロウェイAPEX UTはそれら肝心な最低条件をクリア-している。当然、現代MBならではの打ち易さ、上がり易い重心設定が施されている事だろう。
(古くはB・ランガーを筆頭に)プロの中では2,3Iのロング・アイアンはMBにしている人も多い。バック・フェイスの抉れたパンチ力の無いCBよりパンチ力に優れるMBが断然、球を高く上げられる事を知っているからだ。キャロウェイAPEX UTは現状、その条件を最も満たしたクラブと言える。そもそも2Iを使う人間は打ち易さなど求めていない(こした事は無いが)。「打てる技量があるのだ」。それより、高い弾道が出る物を選ぶ。後は技量でカバーしようと考える。国産はロング・アイアン(ロフト19度)だと言うのにいつまでもパンチ力の無いCBを造り続け簡単さを追求している。「だから売れない」。そんな人はUTを使うのだ。
これはアメリカと日本のゴルフの土壌がそうさせているのだろう。傾向としてプロを含め力持ちでロング・アイアンを多用する(比較論)米国人。非力でイージー化に走り、他人と同じものを好む日本人。「ズバリ、ロング・アイアンで高弾道を打つならMBしかない」。そしてこのキャロウェイAPEX UTはそれらの条件をクリアーした、現状では最高に理想形に近い物だと思う。ぜひとも過去何十年間に渡りMB2番アイアンを打ち続け、1番高弾道が出て再現性が強かった「ウイルソン・スタッフ・ダイナパワー系」(次点はマクレガー・ターニー系)と比較したい物である。
私の勘ではキャロウェイAPEX MBの方はバック・フェイスの板厚の薄い部分が4mmに満たないと思うので、ぜひともロング・アイアン以下もキャロウェイAPEX UTの形状で通したアイアン・セットを出して欲しい。とにかく、久々に2I設定のあるMBの登場が嬉しく、見つけ次第、インプレッションを発表するのが楽しみだ。